WS-09 大問二

 続けて大問二です。鴻上尚史『「空気」と「世間」』からの出題。海城、横浜雙葉は同じ文章の別の箇所が出ています。西大和、横浜女学院などでも使われています。


「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

問一 漢字なので省略。

問二 接続語。こちらも易問なので省略。

問三 「迷惑」と「世間」がキーワード。両方を含むのがL11からの形式段落で、線部と同じ内容が書かれています。
 ①L11「『世間』であれば、共同体の共通の目的があります。」
 ②L11「その共同体が何を求めているのか、はっきりとしています。」
 ③L12「だから、何が迷惑となるか、よく分かるのです。」
 ※選択肢では「『共通の目的』をもつ」を「同じことを目指す」と言い換えていますが、内容は同じですね。

問四 適語補充の問題です。「ビジネス」と「活動」がキーワード。これに関する話はL20からの形式段落にあります。「そして、ビジネスとは、お互いに対立する利害を調整しながら、相互に利益を生もうとする活動です。」とあるのでA、Bは埋まります。
 Cについては「お互い」をキーワードにA、Bと同じ箇所を見ると、「調整」という語が見つかるので、これと近似した意味になるように「納得」を選べば良いでしょう。

問五 「刃物を振り回す」ことはマイナス。犯罪のイメージがつかめたら、本文の別の箇所から似た話題を探す。L31に「相手を傷つけるとか、人のものを盗むとかの話」がありマイナス。これを受けて「そんな人間として根本的なこと」とあるのでここから抜き出しましょう。

問六 線部延長して「~この『何が迷惑になるか分からない人たちの中でどうやって生きていくか?』という知恵をつけるためのものです。」とあり、「どうやって生きていくか」がキーワード。L54に「『異文化の中でどうやって生きていくか』ということがもとめられているのです。」とあり、「何が迷惑になるかわからない人たちの中で」というのは「異文化の中で」と言いかえられていることがわかります。よってこの「異文化」の内容を含む選択肢を選びます。

問七 共通点記述です。本文に直接的な表現がないため思考系。「落書き」がマイナス側で、「乱立する」商業看板もマイナス側であることから、共通点は悪いところ。本文の「落書きは、社会の迷惑である」を具体化する。「街の空間に乱立する商業看板」とあるので、「社会」を具体化すると「街」となり、落書き、商業看板が「街」をどうしているか考えれば「美観を損ねている/景観を悪くしている」ということになります。
 なお「『迷惑』に感じる人がいる点。」といった答案は、共通点になりません。なぜなら(一般に)落書きは誰にとっても迷惑だから。一方で商業看板は一定程度の役立ちがあるため、万人にとって迷惑とは言えないのです。

問八 「対立」と「迷惑」が指定語句なので、これらをキーワードに本文を戻りましょう。対比で考えるのが良いですね。問五で「対立」の話題があったのでL36~39の形式段落を読みます。
<ビジネスの例>
 ①何が「迷惑」なのかは、相手が「迷惑」と感じるか、お互いの正当な主張と感じるかにかかっている。
 ②自分の欲望を満たすことが、相手に「迷惑」だと分かったら「交渉」をする。
<子供の頃から「他人に迷惑をかけない人間になれ」と言われ続けた人>
 ①自分の欲望を満たすことが相手に「迷惑」となり「交渉」をする経験が不足。
 ②自分が欲望を持つと、相手の欲望と対立してしまう。⑤
 ③相手に「迷惑」をかけてしまう、と考える。⑤
 ④他人との接触を避けるようになる。

問九 対比になっています。「相手を思いやる能力」とは、L14「共同体の目的のために、自己の欲望を抑える」能力なので、自分の欲望を抑え込み、必要以上に相手の気持ちを重んじて「迷惑」ではないかと考える能力。
 これに対して「相手とちゃんと交渉できる能力」とは、L29「『迷惑』だと相手が考えていると分かったら調整」する能力なので、自分の欲望を明らかにした上で相手の欲望と調整することができる能力。まとめると以下のようになります。

 言い換え
相手を思いやる能力 (マイナス)相手の「迷惑」について考えすぎる、空気を読みすぎる力=イ
相手とちゃんと交渉できる能力 (プラス)自分の欲望を明示し、相手の欲望と調整する力=ウ

問十 問八、九と連関。線部の直後が指示語「それ」なので線部延長。「思いっきりタメ口の馴れ馴れしい距離と、『すみません』を連発するよそよそしい距離しかない若者です。それは、理想的な『世間』を相手に求めるか、相手が全く関係ない『社会』に住んでいると決めつけるか、の二つの世界にしか生きていないことだと思うのです。」から「理想的な『世間』」とは自分と同じ価値観を持つ世界のことだと分かります。すると、思いっきりタメ口の馴れ馴れしい距離を取ることになる。「まったく関係のない『社会』」とは相手の価値観が分からない。よってなにが「迷惑」になるか分からず、とりあえず「すみません」を連発するよそよそしい距離となる。以上の二つの態度を筆者は「極端な2種類」と言っています。この背景にあるのは問九でみた、相手と交渉する経験の不足です。
<理由>
 相手の価値観が分からず、何が「迷惑」になるかわからないのでとりあえず低姿勢でいようとしている
<背景>
 相手と交渉する経験が不足しているため

 以上です。大問一よりはかなり骨が折れます。娘の出来も悪かった。ただ論理的に考えて解くにはよい練習だと思われます。

土特
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娘がSAPIXに通い出したので、プロ家庭教師のお父さんが国語の勉強法を考えるブログ

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