WS-12 大問一

 マンスリーテストはまあまあの出来に思えますが、平均点等が出てからでないと何とも言えませんよね。全体に簡単だったのかなという印象です。ただ相対評価の基準となる平均点もそれほど信用がおけない。自宅受験では指標として不完全なのでどうしたものかなと思う今日この頃です。

 緊急事態宣言が解除され、サピックスも少しずつ通常の状態に戻っていくようです。とりあえず二週間は半分の時間で分散登校だそうで、娘は楽しそうですが、私は一抹の不安があります。とはいえ「行くべきではない」と強弁できる根拠もなく…

 閑話休題。土特も今回を含め2回分は自宅学習ですね。頑張ってやっていこうと思った矢先、時間が足りなくて娘の点数はズタズタでした。うん、まあ、難しいよね。二つで40分という設定時間もキツイとは思うよ…

 清水良典「あらゆる小説は模倣である。」は世田谷学園(2015②)の過去問そのままです。そして二回受験出来る学校の二回目は偏差値がかなり高くなるため、もはや別物。理由は言うまでもなく1日に難しい学校を受験した層が流入するためです。男子なら早稲田、海城、女子なら鴎友、頌栄などでしょうか。頌栄は1日目は客観問題多めの二題構成なのに、2日目になると記述主体の一問構成だったりします。厄介ですね。


あらゆる小説は模倣である。 (幻冬舎新書)

 今回の問題は学校が講評を載せているため、そこにある情報の内合格者正答率を記載します。参考まで。

問一 語彙。合格者の二問完答は32.9%。一問正解は48.2%。
A 一世を風靡する…その時代の人々がことごとく受け入れ従うようにする。ある時代に圧倒的に流行する。
B 股にかける…諸方を歩き回る。各地を飛び歩く。

問二 完答60.1%。一問正解は34.6%。ロマン主義の説明がなされている意味段落はL1~15。L3~4よりイ。L13~15よりカが選べます。その他の選択肢も本文内容から外せるので、消去法を併用すると早いでしょう。

問三 正答率82.7%。線部②を含むL29~34の形式段落を読めば解けます。線部延長すると線部②は「ように」で接続しているので具体。線部の「詩人・芸術家」をL33「特別な存在」とロマン主義は考える、とあります。直前のL31「~芸術の作者はそれだけで神秘的な存在~」を根拠としても良いでしょう。またはL29の「ロマン主義は詩人や芸術家を、普通の人間と区別される特殊な天分を備えた存在と規定した。」と表現している箇所でも良いと思います。手がかりが豊富であることから易問ですね。正答率も八割を超えてますし。

問四 正答率58.8%。線部延長すると「その辺のオッちゃんオバちゃんにも、何かを創る能力はいくらでも備わっている。」となり、ここだけで判断しても良いですが、分かりにくければ形式段落を読みましょう。L44「~市井のあちこちにいたりする。」やL45「~作者は、今日では必ずしも特別な存在ではないのだ。」といった表現を根拠とすれば選べるはず。

問五 正答率35.2%。問四と関連しています。設問文に「かつて」とあることに気がつけば容易。「今日/今」と「かつて/昔」が対比なので、昔のことが書いてある箇所を探します。
<今日>
 ④「創造は~市井のさまざまな人々に行き渡っている~」
 ∵L37「しかし今日の日本を含む先進国では~創造は、もはや特殊な能力ではない。」
<かつて>
 ④「創造は選ばれた少数者にだけ許された特権」
 ∵L34~「それは社会構造そのものが、苦しい生活に忙殺される庶民階級と芸術や趣味に興じていられる富裕階級に、はっきりと分かれていた時代であったことと不可分である。」

問六 正答率36.9%。線部延長すると「たとえば村上春樹が、神宮球場の外野席でヤクルトの試合を観戦している最中に、ふと小説を書こうという考えが舞い降りてきた~」。「舞い降りてきた」と似た表現としてL55「まちがいなく彼には霊感のようなものが『降りてきた』のだ。」の「降りてきた」が見つかるので、この主語「霊感のようなもの」の意味を探します。するとL59「だから、その時彼に舞い降りてきたものをもう少し正確に言い直すと、それまでの日本の小説家の書き方ではなく、自分が好きなヴォネガットやチャンドラーのスタイルのまま、いわば翻訳のような文体のまま書けば良いのではないか、というアイデアだったことになる。」とあり、これを得た場所が線部⑤新宮球場の外野席である。注意すべきは「霊感のようなもの」は「霊感」ではないということ。筆者は「霊感」について否定的。オの誤答が多いが、「固有の物語観」が言い過ぎ。本文にはあくまで創作や文体のスタイルについてしか書いていない。

問七 ○は3.7%しかいないが△は51.8%。部分点狙いでいきましょう。設問文の「村上春樹に関する話からわかることを踏まえて」とある条件に注意。世田学の記述問題については抜き書きではなく、言い換えや複数の箇所をまとめる能力が求められます。
<村上春樹に関する話からわかること/「オリジナリティ」の説明>
 L81「過去にさんざん親しんだものを有効利用」した
 L61「自分が好きなヴォネガットやチャンドラーのスタイルのまま、いわば翻訳のような文体のまま書けばいいのではないか、というアイデア」
 →村上春樹は過去に読んだ小説を参考にして作品を書いた③
<「オリジナリティ」のイメージ/筆者によって否定されるもの>
 L80「天から授けられたオリジナルな才能」ではない③

問八 ○は0.7%、△は69.1%。こちらも部分点狙い。筆者が「問題」視しているのだからマイナス側。直後に「小説の書き方そのものは~新しくなっていった。」とありプラス側。これを<にもかかわらず>でつないだ「『作者』という存在についてだけは、今なお特別な存在のように見るロマンティシズムが存続しているのである。」がマイナス側なので、これを詳しく説明することになります。
<問題>
 L18「『作者』という存在についてだけは、今なお特別な選ばれた存在のように見るロマンティシズムが存続している」こと④
<「作者」の特別性の説明>
 L19「特別な選ばれた存在」/L29「特殊な天分を備えた存在」/L31「神秘的な存在」②
<「作品」の特別性の説明>
 L21「天から降ってきたインスピレーションに従って」創造するもの
 →天から与えられた霊感によって独自に創造されたもの②

問九 完答27.6%。一問正解56.8%。L16~の内容でイ、L85~の内容でエが事実レベルで本文と一致。キは道徳的には正しいかもしれないが、本文内容とは一致しない(不明)のため惑わされてはいけません。

 この時期に解くには難しいと思われます。ハイコースのお子様でもそれほど得点は伸びなかったのでは?実は回答根拠は線部の周辺で揃います。範囲が広いものはあるものの、具体と抽象といった文章構造を把握することでかなり読みやすくなります。
 娘の場合は村上春樹、エドガー・アラン・ポー、カート・ヴォネガットといった作者の名前に引っかかって時間を空費していたようです。
 二題を40分で問いている場合、時間配分的には大問一で25分、大問二で15分でしょうか。高いレベルの国語力がある前提ですが。娘の場合は20分時点で大問二に移り、時間が残ったら大問一に戻るつもりだったそうですが、結局時間が足りず終了…時間配分は今後の課題ですね。

土特
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娘がSAPIXに通い出したので、プロ家庭教師のお父さんが国語の勉強法を考えるブログ

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