WS-12 大問二

 大問一に比べれば解きやすい印象。ただこちらは古い文章なので、復習の優先度は大問一の方が上ですね。

 さて、いしいしんじ「調律師のるみ子さん」は文教大学付属中と文章は同じですが問題は異なります。オリジナルなのか古い入試問題なのか?文章自体が古いので後者かなと個人的には思います。いしいしんじは「雪屋のロッスさん」が実践女子、「おばけの涙」が青山学院、「雨乞いの『かぎ』」が桐朋で出題されていますが、いずれも10年以上前です。


雪屋のロッスさん (新潮文庫)

 記述が多いので敬遠しがちですが、問題は比較的易しいです。きちんと条件を守って解きましょう。

問一 「調律」、「チューニング」をキーワードに意味段落(L1~15)を読み進めると良いでしょう。L12~が直接的な根拠となります。
<理由>
 L12「~仕事の注文が途絶えることはありませんでした。」
 →仕事が途絶えないようにするため④
<方法>
 線部①「~チューニングを、いつも一音、わずかだけ外して」おくのでL13「『いつの間にかまた調整が必要となる』ようにする
 →いつの間にかまた調整が必要になるように、一音外しておく④

問二 設問に「いつ、どのようなとき」とあるので指示を守ります。「いつ」の答えはL9「十年前」なのでこれをキーワードに読みすすめましょう。「ひとさし指となか指が」ない原因はL55「怪我」。L53に「十年前」とあるので、これについての説明はL53~56。ここをまとめれば良いでしょう。
<いつ>
 十年前②
<どのようなとき>
 電車の転覆事故の際に小学生を助けたとき④
 ※「電車の転覆事故のとき/小学生を助けたとき」は説明不足で②とする。

問三 比喩の意味を捉えます。「ような」があるので直喩だと判断。「時計の針」は機械なので人間らしくない。るみ子さんは人間であるにも関わらず機械のような動作をしています。これは感情がこもっていない、ということを表しています。

問四 肩をすくめる=①はずかしい②どうしようもないと思う。本問では②。L32「お話になりませんな」やL35「ピアノはそのままにして、どうぞお帰りください。」といった老人のセリフからも判断出来ます。

問五 不適選択になっていることに注意。「真っ赤になる」は「顔を赤くする」を省略したもの。多義語なので注意。恥ずかしい、怒り、とまどいは考えられます。これに対してL37でるみ子さんは老人に反論していることから、この時点においてエの反省は該たらないでしょう。

問六 指定語句「仕事」を使うのを忘れないように注意。雨が情景描写に使われており、るみ子さんの心情を暗示しています。「心の状態」が問われていますが通常の気持ちの記述で良いと思います。WS-11大問一問八同様気持ちが複数となる問題です。
<情景描写「何日も雨が続きました」や線部⑥の表現から分かる気持ち>
 悩んでいる②
<結果>
 線部⑥「仕事に出てもピアノの音が、なんだかくぐもって聞こえます。首根っこが重く、食欲もない。るみ子さんは三件続けて注文を断りました。」
 →仕事に集中できない/仕事が手に付かない②
<きっかけとなった気持ち/L29「頬を打たれたような表情」から分かる気持ち>
 衝撃/ショック②
 ※老人の言葉を聞いた直後はL44「憤然」としているが、「怒り」関係の気持ちはその後の「悩み」につながらないので①
<原因>
 L28「全然音が違っていますよ」
 L42「これじゃあピアノがかわいそうです。あなたは本当のところ、ピアノのことがお好きではないようですね」
 →(抽象化)老人の言葉②

問七 ただチョコレートケーキを焼くのではなく「工夫」をこらしているのは気持ちを込めているから。ここでの気持ちはL58「お礼」やL60「ほんとうに、ほんとうにありがとうございました」から感謝だと分かります。

問八 気持ちの変化と考えると分かりやすいかも。
<はじめ/問一の内容>
 L2「チューニングを、いつも一音、わずかだけ外しておきます。」
 →ピアノへの愛情を知らぬ間に失っていた
<きっかけ>
 L64「学生の頃によく聞いたピアノソナタ」の演奏を「古いレコードを取り出し」て聞いた
 →L66「久しぶりに聞くその音は、以前と同じく、きらきらと光を振りまくように聞こえました。それでいて、どの演奏のピアノも、すべて、それぞれが違う輝きを放っているのでした。」
 →自分は変わってしまったが、レコードのピアノの演奏は変わっていないという対比
 →昔の自分(L10「~ピアノ曲の演奏途中、突然曲をやめ、黙々と調律を始めたことがあります。」)を思い出す。
<変化後>
 かつてのピアノへの愛情を取り戻した/本来のるみ子さんの気持ちに戻る/繊細な感性を取り戻す
 →L62「元来、甘いものが好きではない」が他人からの好意を受け入れるやわらかな気持ちとなり、線部⑧「チョコレートケーキをつまみました。」

問九 前回と今回の調律の違いを読み取り、まとめる問題です。設問文で「~対し」となっているので対比。解答欄が小さいので「音叉」と「耳」の対比が取れていれば正解ではないでしょうか。模範解答にあるように、本来は言葉を補いそれぞれがどのような調律であるかも説明すべきだとは思います。
<前回/A>
 L20「音叉を出し、調律をはじめました」
 →音叉を使って型通りに調律した④
<今回/B>
 L75「他のピアノにはない響き、それぞれの音が見せる表情を、一瞬でも聞き逃すまいと息をひそめて。ピアノのささやきは、はじめはおずおずと、その内大胆に、彼女の耳に流れ込んできました。」
 →自分の耳を(最大限に)使って(真剣に)調律した④

 こちらは解答根拠が広めですね。比較的長い意味段落の内容を頭に入れないと正答が選べない選択問題などがあります。ただ解答根拠自体ははっきりと分かるので直しを丁寧に出来ると良いですね。我が家は現在のところ大問一で手間取り放置中です…

土特
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娘がSAPIXに通い出したので、プロ家庭教師のお父さんが国語の勉強法を考えるブログ

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