WS-13 大問一

 土特も対面授業が復活しますが、時間が40分です。普段大問一、二を40分で解いていたことを考えると一問だけ授業内で解いて解説を聞く感じでしょうか?なんにせよ家より集中して問題に取り組めるはずなので、そこは期待したいです。

 石田衣良「火を熾す」からの出題。浦和明の星ベースでしょうか。同じ箇所が品女でも出題されています。登場人物は男性ばかりなのに、出題されているのは女子中というのが面白い(笑)


再生 (角川文庫)

問一 漢字のため省略。

問二 「筋の良さそうな」はプラスの表現なので探す説明もプラス。設問文より「光弘」が「壮太」を褒める内容を探すことになります。L128に「光弘は不登校の少年の顔をよく見た。」とあり、「不登校の少年」とは「壮太」のことなので、これに続く「(実に)利発そうな顔をした子ども(だ。)」がそのプラス評価。問われているのが表現なので、多少のズレを許容するようです。

問三 線部②に関する問題。
 (1)主語は治朗。この後の治朗の行動を追うと、壮太に火熾しの仕方を聞いています。変化前(L20)は、「壮太の声はひどく細く頼りなかった。」けれど、治朗の質問には全て答えられています。そして変化後(L27)では「男の子の顔には笑みが浮かんでいた。歌うように言う。」とあり、壮太に自信が芽生えたことが読み取れます。つまり壮太が自分の力で火熾しが出来ることに気づかせることで自信を持たせたかったというのが治郎の意図ですね。
 (2)(1)で答えた選択肢エの内容から推定するか、上述の変化の内、変化後の様子から抜き出しましょう。L27「男の子の顔には笑みが浮かんでいた。」が答え。

問四 光弘はL31「人に教えられたことを、つぎの日には別な人間に教える。」ことが大切だと考え、治朗は光弘に教えられた火熾しを壮太に教え、壮太はそれを受け止めているので「だいじょうぶ」と判断しています。もしくは前書きにおいて、治朗は会社に行けず、壮太は不登校であったが、そんな二人が協力して火熾しをしている。つまり、二人は孤独ではなくなった、居場所を見つけられたのだと思い、「だいじょうぶ」と考えたという解釈でも良いでしょう。選択肢エの「ふたりが学校や会社への不安を乗り越えて」は言い過ぎ。またこの時点では(特に壮太が)「組織に戻って」いくことは想定していないので不適です。

問五 比喩の抜き出し。「壮太にとっての小学校の様子」と「光弘にとっての会社の雰囲気」はどちらもマイナス。また両者に共通する表現になります。主語の片方が「光弘」であることに気づくと易問。「学校」、「会社」をキーワードに〈中略〉以降を読みましょう。L38~53が探索範囲。L48からの壮太のセリフで「ほんとにへたくそな焚き火の煙をずっと吸わされているみたいなんだよ」とL52の光弘の内心「確かにあそこは、焚き火の煙のように空気の悪いオフィスだった。」で共通するのは「焚き火の煙」。「ように」・「みたい」といった直喩の表現を探しても良いと思います。

問六 語彙。爆ぜる=草木の実などが熟しきって裂ける。また、割れて飛び散る。はじける。「爆」の字を当てますが原義は火に必ずしも関係しないことに注意です。

問七 直後の治朗のセリフを中心に読み取ります。L69~の意味段落に根拠あり。背景としてL76「もう死んでしまおうって思っていた。会社にもいけないダメ人間なんて生きていてもしかたないって。」と考えていたことが分かります。そんな自分(治郎)がL79「火の粉が飛んだくらいで、熱いっておおさわぎだ。死ぬんなら、ちょっとくらいの火傷なんてなんでもないはずなのに」と言っており、ここが理由。そんな自分が滑稽だと思ったということ。また、死のうとまで思っていたということを笑い、人に話せるということは、その死のうという思いから解き放たれたということ。選択肢は抽象化されています。プラス属性の笑いだと気づくだけで二択にはなりますね。

問八 線⑥のあとの治朗のセリフに注目。L101「この三日間、ほんとうにお世話になりました。~ぼくはいつか会社を辞めて、リタイアする日がきたら、磯谷さんみたいなプレイマスターになりたいと思います。」という表現から、治朗の光弘への信頼が読み取れるのでイ。また、そんな光弘に見守っていてもらえたら心強いと思い、線⑥のセリフの後にL91「だけど、自分のためじゃなくて、誰か人のためだったら、会社にもいけるような気がしてきたんです。」とあることから、この場合の「人」は主に壮太のことですが、同時に光弘にもこの約束に参加してもらえれば「決心したことを強固なものにする」ことができると考えたと推定できるのでオが選べます。消去法を併用しても良いでしょう。

問九 問八と関連。問われているのは「気持ちの読み取れる表現」なので気持ちそのものではないことに注意。感激の表れのひとつに「涙」があります。L106「光弘は目にがにじんで困った。」という表現がある。問われているのは「照れ隠しをする光弘の気持ちが読み取れる表現」なので、「涙」を感激のせいではなく、煙のせいにしてごまかそうとしている表現、つまり「涙がにじんで」の直前の「煙が目にしみたようだった。」が答えになります。

問十 光弘の焚き火は、治朗と壮太の二人に前向きな気持ちを持たせました。そのうえ二人は自分のことを慕ってくれています。光弘の自信や喜びの気持ちが、「じっとしていられなくなって、手元にあった小枝を炎のなかに投げこんだ」という行動に表れたと考えられます。

問十一 「焚き火」の「すごい力」について本文全体を踏まえて記述。ただし焚き火の効用についての記述は後半からなので、前半は無視して大丈夫。後半(L101~144)だけでも範囲が広いので部分点狙い。「焚き火」が人に与える力について書いてある部分、単純化すると「焚き火」について書かれた箇所を追っていくのが良いでしょう。
<L101~105/問八>
 「ここの焚き火はほんとうにあたたかかった。ただ身体をあたためるんじゃなくて、心の底まで照らしてくれる光でした。」
 →心を照らす/心をあたためる②
<L117~122>
 「十二月の三日間で、こんなふうにまるで他人の心が結ばれることがある。きっと焚き火の炎が人の心を溶かすからなのだろう。火には人を深いところで変える力があるのだ。~あのときも毎日新たな火を熾すことで、なんとか沈みがちな心を保てたのではないだろうか。」
 →沈みがちな心を保たせる②
 +人を深いところで変える②
 +人の心を溶かし、他人の心を結びつける②
<L132~135/線部の直後>
 「ここにきた三日間、誰にもなんにも相談もしなかったし、ずっと悩んでいたわけでもないのに、いつのまにか自分のなかにこたえがでている。」
 →自然に悩みの答えを出す(手助けをする)②
 以上、五要素です。毎度のことですが採点基準は参考程度。志望校の傾向というか、求める学力によって採点基準は変わるものだと思いますので。

 少しばかり文章が長いでしょうか。選択肢もいくつか落としていたし、大人が思う程には簡単ではないようです。記述は要素多めでまとめ問題ですから満点は狙ってもなかなか取れないように思います。比喩の抜き出しは解けるようになってほしいなあ。Aテキストの14番も解法メソッドで比喩の話があるようだし…

土特
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娘がSAPIXに通い出したので、プロ家庭教師のお父さんが国語の勉強法を考えるブログ

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