WS-15 大問一

 河合隼雄「泣き虫ハァちゃん」からの出題です。桐朋がベースの問題でしょうか。桜美林、横浜共立、西大和、かえつ有明、成城学園中でも別場面の出題あります。ただ十年くらい前ですね。古い!


泣き虫ハァちゃん (新潮文庫)

問一 難を逃れる=「災い」を逃れる。

問二 設問に「高城山の作文では」とあるので、キーワードは「高城山」。また線部を延長すると「それまでは、ハァちゃんは作文を上手に書こうと思ったし」とあるので、作文を上手に書こうとしている部分を探します。30~35字という指示があるのに注意。「高城山」はL25「ハァちゃんは、高城山の坂道で苦労するが、戦地で頑張っている従兄弟の博兄ちゃんのことを思うと、こんなことは何でもないのだ」が見つかりますが、文字数オーバー(37字)。「戦地」、「博兄ちゃん」をキーワードに読み進めるとL35「ところが先生が読まれたところは、戦地にいる博兄ちゃんの苦労を思い、必死になって坂道を上がってゆくところだった。」とあり、32字で条件を満たす形で抜き出せます。

問三 線部延長すると「それを見て、ハァちゃんは何とも言えぬ複雑な気持になった。」となります。指示語「それ」の内容はL36「返したもらった作文には、先生の読まれたあたりに、赤インクの丸が一杯ついていた」こと。ここでの心情とその理由については線部の直後に書いてあります。背景①だけが根拠が離れています。
<気持ち①>
 L40「嬉しい」②
<理由①>
 L39「広田先生にほめられた」
→広田先生に作文を褒められたから②
<背景①>
 L1「~ハァちゃんは何となく広田先生とは気が合わなくて、うまくゆかない」
→広田先生と関係がうまくいっていない①
<気持ち②>
 後ろめたい/とまどう②
<理由②>
L40「~先生が認めて下さったところは~普通の大人の人なら喜びそうなことを後で考えて書いたものだ」
→褒められた部分は嘘を書いた部分(つくりものの部分)だったから②
<背景②>
 L41「先生の言われる『感じたまま』を書いたのではなく」
→広田先生は感じたままを書くのが良いと言っていた①

問四 「れる・られる」の四用法。設問文は受け身です。
A ○ 受け身
B × 可能
C × 尊敬

問五 空欄部分が二箇所ありますが、後者で考える方が楽です。前者で解くなら、前の内容から雰囲気を読み取ることになりますかね。後者の場合は線部延長。「昨晩の兄たちの[   ]が嘘のようだ。」とあり、「昨晩」と「今」が対比。「今」は「ジョークを飛ばして」いるのだから、これと逆の雰囲気を出す表現が入ることになるので「神妙な顔」。
気持ちの変化で考えても良いと思います。
<昨晩>
 L68「~一同[   ]をしてお父さんの言葉を聞いている」
<今>
 L110「これらすべての思いをこめてミト兄ちゃんは、ここでうまくジョークを飛ばしてくれたのだ。昨晩の兄たちの[   ]が嘘のようだ」

問六 形式段落の内容把握です。作文に関する話題に置き換えて考えましょう。
 要領よくやる奴は、だいたい誠意がないな
  ↓            ↓
 ハァちゃんは、(先生や父の評価を得るために)嘘をついた
  ↓            ↓
人の評価をたくみに得ようとする者は、嘘をつきがちである。
 選択肢の前半が二種類。ここでの「要領よくやる奴」とは「人の評価をたくみに得ようとする者」のことなのでア、イは不適。またハァちゃんは「人を傷つけ」てはいないのでエも不適。よって消去法でも解けます。

問七 線部延長すると「『隼雄の作文が上手なのは、[ 2 ]からですよ』と言われ、日曜日にも読書を許可しては、と陳情された。」となります。「作文」と「読書」をキーワードにすると、形式段落内にどちらも出て来ます。ゆえに形式段落の内容を把握して挿入内容を推定することになります。また[ 2 ]の後ろに「から」があるので、[ 2 ]には「隼雄の作文が上手な」理由が入ります。「。」を付けないように注意。

問八 問五、六と連関。この後で気分が明るくなっているので気持ちの変化です。
<はじめの気持ち>
 心配/暗くなっている
<理由>
L73「『ハァちゃんは要領のよいことを書きやがって』と兄さんたちが自分を馬鹿にしているのではないか、などと思えてきたのだ。」
→嘘を含んだ作文の内容に対する兄たちの反応から、兄たちがハァちゃんを軽蔑し、嫌っているのでは?
L76「ますます自分が嫌になってきた」
→自己嫌悪。
<きっかけ>
L103「センチにおられる博兄ちゃんのことを思い、頑張って雑巾がけをしよう!」
→ミト兄ちゃんの発言
<変化後の気持ち>
 安心/明るくなる
<理由>
L110「これらすべての思いをこめてミト兄ちゃんは、ここでうまくジョークを飛ばしてくれたのだ。」
→ハァちゃんが書いた作文の内容を冗談にしてくれた

問九 説明記述。L106~109が解答のベースになる。不足を補う。線部の直前からさかのぼって行くのが良い。
<兄弟のいいところ①>
 L115「『あっ、みんなわかってくれてたんや』とハァちゃんはゲラゲラ笑いながらも、じーんとくるものを感じていた。」
 →ハァちゃんの気持ちを理解してくれるところ
<兄弟のいいところ②>
 L109「笑い飛ばしてしまえ」/L110「これらすべての思いをこめてミト兄ちゃんは、ここでうまくジョークを飛ばしてくれたのだ。」
 →冗談にして笑い飛ばしてくれたところ②
<それまでのハァちゃんの気持ち>
 L109「かなんかったやろ。」
 →いたたまれない/後ろめたい/気落ちしている②
<理由①>
 L106「あの作文が『つくりもの』であり、それに感心された~」
 →嘘を書いた作文をほめられた/感心された②
<理由②>
 L108「それにしても、あんなのを皆の前で読まれて~」
 →嘘を書いた作文をみんなの前で父に読まれた②

 以上です。大問二に比べると解きやすいです。ただ最初に書いたとおり出典が古いので重要度は低いですかね。

土特
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娘がSAPIXに通い出したので、プロ家庭教師のお父さんが国語の勉強法を考えるブログ

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