62A-16 今週の知の冒険

 今月の知の冒険は詩・短歌・俳句です。今週は詩(自由詩)に焦点を当てます。デイリーチェックの範囲には短歌が含まれてしまいますが、両方書くと長い記事になってしまいますので…

まず吉野弘、茨木のり子は、中学入試によく出る印象があります。見かけたら読んで理解しておくと良いでしょう。

 具体的な出題校として、男子校Aタイプなら立教池袋、慶応普通部、城北埼玉などが挙げられます。城北埼玉は2013年に吉野弘の「詩の楽しみ」が出題されており、これは詩「生命は」とその解説文でした。
 女子校Aタイプであれば女子学院、浦和明の星、大妻、共立、和洋国府台などが挙がります。共立は特に頻度が高い印象です。
 共学校Aタイプでは慶応中等部、青学、西武文理など。西武文理は2011~2014年において連続で出ています。青学は2013年に吉野弘の「樹」が出題されました。
 Bタイプではかなり高い頻度で詩を読ませる筑駒が有名です。近年は開成でもよく出題されます。桜蔭は直接的な出題はありませんが、入試問題を見るに詩を好む先生が問題作成をしているのか、という印象を受けます。具体的には2012年に井上ひさしの詩的文章、2013年に魚住直子の詩的文章、2014年はあさのあつこ「かんかん橋を渡ったら」なのですが、野球少年の話の中で「ピッチャーが『詩人』の感性が必要だ」というところを記述問題にしています。しかも解答欄が大きい。
 灘中は二日目に詩を問うことが多いでしょうか。毎年出ます。
 例外的な出題として慶応SFCは2010年に詩の題名に込められたイメージを説明する記述問題が出ています。しかも100字…

 以上のように難しい学校では結構出てます。物語文の読解・記述にも繋がりますので自由詩はきちんと対策をしたいところです。これに比べると次週以降扱う短歌・俳句は優先度が落ちます。

 では今週分のデイリーチェックの範囲のお話。

大問一
 ①口語自由詩。中学入試で詩の分類を問われた場合、ほぼこれ(笑)。出題される詩が概ね口語自由詩ですから。あとは叙情詩というのを覚えておけば十分かな。テキストには他にも色々載っていますが、叙事詩や散文詩が出るとは思えず…
 ②雨が降っていると妹の木琴が聞けないのは妹がどこにいるからかを考えましょう。雨雲の向こうの「星の中」にいるからです。また「星の中で」の「で」は場所を表す助詞です。
 ③解答欄は大きいですが、「妹が死んだ」ということが書ければ十分でしょう。線部に「戦争」という言葉があるので模範解答のように「戦火」に変換するか、そのまま「戦争」という言葉を使って理由付けをした方がより良いとは思います。
 ④「街が明るい」の逆は「街が暗い」。その原因は「戦争」なので、それが終われば平和になります。
 ⑤一連が同じ形。
 ⑥妹に語りかけるような表現が「妹よ」です。表現技法の何が使われているかを問うています。「呼びかけ」だと分かれば瞬殺。

大問二
 A ふるさとの訛なつかし/停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく   石川啄木
(心情      ) (行動             )←句切れ
 故郷の訛り(方言)が懐かしくて、停車場(=上野駅)の人混みの中に(方言を話す人がいるかと思って)、それ(方言)を聞きに行く。(石川啄木は東京に住んでいて、故郷は岩手県渋民村。)

 B 白鳥は 悲しからずの青 海のあをにも 染まずただよう  若山牧水
(反語)
 白鳥(かもめ)は寂しくはないのだろうか(いや寂しいだろう)。空の青色や海のあお色にも(混じって)染まることなく(ただ一羽で空を)ただよっている。
 色彩について、空と海の青と、白鳥の白の対比。また「空」の「青」は澄んだ青、「海」の「あを」は深い青、藍。
 感動の中心は「かなしからずや」。「悲しい」→孤独。(「いとおしい」→純粋さへの賛美という解釈もありえます)

 C 遠足の小学生徒有頂天に大手ふりふり往来とほる 木下利玄
(6音→字余り)
 遠足で来ている小学校の生徒達は有頂天になっていて、大手をふりふりして往来を通っている。

 D くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに雨の降る/ 正岡子規
 紅色をした二尺(60cm)ほど伸びた薔薇の新芽の針(トゲ)は、まだいかにも柔らかな感じであり,そこにしっとりと静かに春雨が降っている。
 表現としては「やはらかに」は薔薇の芽と春雨の2つにかかります。
「の」を連続させてリズムを持たせています。「春雨の」の「の」は「主語」の「の」。
句切れなしです。
「写生」を主張した子規の代表作といえます。

 E 金色の小さき鳥のかたちしていちょう散るなり/夕陽の丘に  与謝野晶子
 表現としては暗喩(銀杏の葉を、金色の小さき鳥に喩えています。)
 倒置法(結句の最後が文の途中のような終わり方をしている場合は、倒置法か省略法を疑いましょう)
 絵画的な短歌と言われます。
 鑑賞として季節は秋。なぜなら銀杏が散っているから。
 また時間は夕方。夕日が出ているから。

 短歌の大問二は、小学生には解釈が難しいです。ただ問題はテクニカルに解けてしまうので、それで良いかな、と。後日記事にしますが、短歌も出題する学校は限られていますので。灘中をお考えならやっておきましょう。

国語A
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娘がSAPIXに通い出したので、プロ家庭教師のお父さんが国語の勉強法を考えるブログ

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