WS-18 大問二

 長薗安浩「あたらしい図鑑」からの出題。海城ベースでしょうか。同文章の前書き部分が桜蔭でも出題されています。

問一 前後の文脈で判断。
ア 息を継ぐ=息継ぎ/息を吸いこむこと。
イ 息を飲む=驚いたりして息を止めること。緊張しながら、じっと見守ること。
ウ 息が詰まる=緊張しすぎて、息苦しくなる。
エ 息を整える=ゆったりとした呼吸をする。
A 直後に「凹凸のはっきりした骨格に皮膚が張り付いただけの顔が、目の前にあった。」と村田さんの状態が書かれています。マイナスの内容なので「息を飲んだ」という「驚き」のニュアンスを持つものが良いでしょう。
B 線部延長すると「ぼくは息苦しくなってやっと口をあけ、ゆっくりと B 。」とあるので、「息苦しく」なった後なので「息をついだ」。息継ぎ。
C 村田さんは具合が悪いのに沢山喋ったせいで「苦しそうだった。」ので、その呼吸を整える必要があります。よって「息を整えた」が適合。
D 直後に「胸の鼓動がさらに激しさを増し、息苦しさに耐えかねて口を開くと、引きつるように声が漏れた。」とあります。この直前の状態なので「息が詰まった」様子。

問二 線部を二つに分けて考えましょう。「目の前のやせほそった村田さんの姿を/受け止める」。
<村田さんが「やせほそった」理由>
 L94「死に近づいて」いるから
<「受け止める」の意味>
 現実を見る/直視する
∴眼の前の「死に近づいている」村田さんの姿を直視する。→エ

問三 「ひまわり」がキーワード。ひまわりの花言葉は「わたしは、あなただけを見つめています」なので、選択肢はウ、エに限られる。ウは「大人の世界の楽しさを教えてくれる」の根拠が不足。

問四 線部延長すると「それがずっと気になってて、だから、その爪を切ってスクラップしようと」となります。指示語「それ」については処理不要。「爪」と「スクラップ」がキーワード。L162に見つかるのでこの形式段落を読む。「たとえ足の爪でもいいからスクラップにしてながめれば、村田さんがかもしだす、もやもやとした気持ちのいい気配につつまれて、もっと村田さんに近づくことができると、ぼくは期待したのだ。」の中で純が思っていたことを探します。

問五 ここでの村田さんのセリフをつなぐと「あなたが、よく、見ておいた方が、いいのは」L89「この、今、ここにいる、おれだ」となり、真剣な様子が分かる。それまではL66「なんだい、おれと、キスでも、したいのかい」といった軽口を叩くこともあったが、「あなた」と呼んで以降のセリフは真剣なものになっているという対比。

問六 問五と関連。村田さんのセリフ「おれを、見ておけ」と言っている「おれ」の様子について読み取りましょう。L93「いいかい、おれはこれから、死に向かって、……ラストスパートだ。今日より、明日。明日より、明後日。いいや、刻一刻と、そこにある死に、近づいて、行くから、……あなたの、五十嵐くんの、時間の許す限り、ここに来て、おれを、しっかりと、見ておくと、……いいぜ」が村田さんの見てほしい姿だと分かります。なお、まだ死んでいないので「村田さんの死」などはいきすぎ。

問七 「新しい図鑑」については【前書き】から「もやもやとしてことばにならない感情を呼び起こすものをはりつけてスクラップ」にしたものだと分かります。「首を長くして、待ってるぜ」とあるので気持ちは「期待」。ゆえにイかウ。説明を待っているわけではないのでイは不適。そもそも「新しい図鑑」も「村田さんの死」すらも、純の成長の糧にしてほしいというのが村田さんの心情。

問八 問五、六、七と関連。「もう」とあるので根拠はここより前。L86~127の流れを押さえる。問五で見たとおり、この場面は村田さんから純に向けて真剣なメッセージを伝えるシーン。それに対して純はL127「あふれだした涙は止まらなかった。」とあるので、受け止めきれずにいる。消去法を併用する方が楽。
ア × 「陽気」ではない。
イ × 「おそろしい」とは思っていない。
ウ × 「哀れんで」いない。
エ ○

問九 問六、七と連関。線部を「真っ白な紙の上に、/いななき笑いをする村田さんの姿が、はっきりとうかんでいた。」と二つに分けて考えます。
<「真っ白な紙の上に」の意味>
 L149「ぼくは、村田さんをスクラップしたかったのだ。」
 L165「でも、村田さんは死んでしまった。」
 →死んでしまった村田さんをスクラップすることは出来ない/死はスクラップ出来ない⑤
<「村田さんの姿が、はっきりとうかんでいた」の意味>
「ぼく」の心に村田さんの存在や伝えたかった思いがしっかり残っているということ/純は村田さんのおかげで成長できた/純は村田さんのことを思い出している(しっかりと覚えている)⑤

老人、村田さんは詩人田村隆一がモデルと思われます。田村隆一詩集『言葉のない世界』より「夏の光り」をご紹介。

おれは

ヨット乗りの絵描きと

上野駅の殺風景な構内で

神が到着するのを待っていた

午後六時三分の上野着で

神は千三百米の高原から

ワラビとシイタケを両手にぶらさげて

汽車からおりてくるはずだった

おれとヨット乗りは缶詰ビールをやたらに飲み

七時十五分まで待った

大西洋を十九日で横断したのは一瞬の出来事だったが

神が汽車に乗りおくれた一時間は

ちょっとながすぎるぞ

とヨット乗りはぼやいた

土特
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娘がSAPIXに通い出したので、プロ家庭教師のお父さんが国語の勉強法を考えるブログ

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