WS-05 大問一

「鉄は熱いうちに打て」シリーズということで、大問一についても上げてしまいましょう。

 出典は山川方夫「Kの話」。山川方夫は「夏の葬列」の作者で、こちらは鎌倉学園、東邦大東邦で出題があります。また「煙突」が2018年のフェリスで出題されています。この「Kの話」は見たことがないのですが、サピックスのオリジナルなのか、古いから知らないだけなのか…


安南の王子 (集英社文庫)


安南の王子 (集英社文庫) [ 山川方夫 ]

 大問二とは打って変わって記述なしのオール客観問題ですね。時代設定が少々古いことから、読みにくく感じるお子様もいるかもしれません。
 では解説。

問一 漢字のため省略。

問二 語彙。「目」に関するもの。この手の知識は、最近だと意味を問う方が多いですね。
 目を据える:じっと見る。
 目を白黒させる:あわてる。
 目を奪う:見とれさせる。
どれも珍しいものではないので、意味まできちんと整理しておきましょう。

問三 脱文の主語は「私」。ということは「性懲りもない熱情」を持っているのはK。「性懲りもない」とあることから、失敗したのに反省していないことが分かります。帽子を改造し過ぎて目立ってしまい、上級生に呼び出されてボコボコにされたのに、まだ「でも、……あれ、ワセリンでやるといいんだってね」と帽子の話をしているKに対する感想なので[D]に入ります。

問四 述語が「信じられた」なので、何を信じたのか読み取りましょう。L19「高台の、Aの家である純白の瀟洒な洋館には天使みたいに愛らしいその一人の妹と、二人の女王のように上品で優しい姉さんとがいるという話」を信じたということ。なお、その直後にあるように弟のことはきれいに無視されています。これは「私たち」が中学生男子であり、美人の姉妹には興味があっても、弟などに興味がないからである(笑)。

問五 同意表現を探しますが、こういった問題では名詞に注目しましょう。なぜなら名詞は他の言葉に変換しにくいからです。今回は「古い、ゆたかな時代と貫禄のついたその帽子」なので、「帽子」に注目。直後に「私たち野暮ったく新品のピカピカの徽章を輝かせている」帽子との対比で、L46「その徽章もまた、一見して燻されたような古びた重厚な光を静かに内から放っているのだった」とあり、これをL49「帽子の大人」とまとめています。

問六 線部を含む形式段落を読んで考えましょう。「いつも」と「その日」の対比。「いつも愛想のいいA」が「その日にかぎり能面のような無表情」になっていおり、「大人ぶった声」で話していることからウが選べます。

問七1 「新しい季節」についての問題。線部を含む形式段落を読んで判断しましょう。L59「憑かれた」やL62「狂奔」がヒントになります。「狂奔」は語注がありそこに「熱心」という語があることから、これが選択肢イの「熱中」に近いと分かれば簡単です。

2 「帽子」に熱中しているのが「新しい季節」です。「帽子」は大人っぽさの象徴であることから、変化前は「子供っぽい」頃になります。これは「帽子」が登場する以前の話になるので、L1~26が探索範囲。問四と関連しており、Aに関する話を信じていた幼稚だった頃を説明した表現を探せば良いでしょう。L24「これがなんとなく素直に信じられたというのは、私たちが、じつはまだまだお伽噺が好きな年頃でもあったことを証しているのだろう。」の「お伽噺」は幼さの象徴である。

問八 「私」がKに対して競争心を持っているのは、帽子について。「私」は帽子の加工についてKのやり方をL62「芸がなかった」とマイナス評価しています。帽子の加工についてはL59~69の範囲に書かれています。L69に「私は内心で嘲笑し、独自の研究をつづけていた。」から、Kに対する競争心が読み取れます。競争心がなければ相手を馬鹿にしたりはしないでしょう。

問九1 「私の方法」についての問題。「小賢し」い方法をとらなかったKは上級生に連れて行かれ暴行されました。「私」はそうなりたくないが故に「合理的で、小賢し」い方法を取ったと分かります。これについての説明はL104「臆病な私はKの二の舞になるのをおそれ、ポマードに代わるものをあれこれと探し、ほんのちょっとずつ付けてみて試した。」とあり、ここが理由ですね。

2 「私」はKよりも「合理的で、小賢し」い方法を取ったのだからプラス評価されるものが与えられたはずです。また、これは結果にあたるので探すべき部分はL106~112。この内、帽子に与えられたプラスのものはL110の「控えめな艶」でしょう。

 客観問題ばかりではあるものの、解答根拠を探す範囲を絞れないと時間ばかりが過ぎていきます。大問二と連結して解くことを想定すると、こちらは15分以内で片付けたいものです。
 抜き出し問題で手間取っているようなら、今一度解き方を確認した方が良いでしょう。娘の場合は適当に抜いてしっかり間違っていました…
 受験勉強も後半ともなれば、費用対効果の悪い抜き出しについては最悪「捨てる」という選択も取れますが、志望校も確定しないこの時期にこの戦略は危険です。前半は基礎的な学力養成を大事に行い、志望校特化は後半でというサピックスの戦略は概ね正しいと思います。
 ……というか娘は基礎的な部分がまだまだですねえ……

土特
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娘がSAPIXに通い出したので、プロ家庭教師のお父さんが国語の勉強法を考えるブログ

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